第二章 日本ヘの宣伝攻勢
自由経済政策の本質
宇野氏が指摘した真実をごまかすため、ADLは氏の著作を云々するという伝統的な虚偽宣伝の方法を利用した。歴史的にみてもロスチャィルド、モルガン、ロックフェラー、メロンをはじめとする強大なアングロ・アメリカ系の銀行一族は、彼らの金融システムのからくりを隠すために何度もこの手を使ったものである。裏表のある主張で宇野氏の著作を攻撃したのも、卑劣な嘘をつく彼らのやり方そのものに外ならない。その上これらアングロ・アメリカ系の金融グループは、日本を自分たちの金融帝国の権益を脅かすものとみなしている。これらエスタブリッシュメントの中枢をなす人々からは、日本は単なる競合者ではなく敵とみなされている。
彼らが抱えるいわゆる日本問題を正しく理解するには、これらの銀行が日本と中国に対して持つ先入観についてまず考えてみなければならない。これら大手銀行の大部分は中国に対し、ある種の神秘的かつロマンチックな考えを抱いている。
彼らが中国に対して持っているイメージは、農民が耕す楽土中国、これら銀行家一族たちがアへン取引の拡大のために頑張った楽土中国というものである。中国は彼らが帰属する各々の国の政府が、特権的治外法権を手に入れた国でもある。そのおかげで彼らは金融帝国を築くことができた。したがって基本的に彼らは中国びいきの見方をする。そしてこの姿勢がアメリカの政権すべてに影響を与えている。
一九七一年にキッシンジャーとニクソンによっていわゆるチャイナ・カードが行使されたときに、エスタブリッシュメントに属する多くの者が日本を潜在的脅威とみなす好機だと考えた。そのうえ中国や日本に対する彼らの態度は、日本と比べて中国から「搾取」「略奪」する方が容易であるという点がポイントになっている。
リベラル経済で崩壊した米国
金融で暴利を貪ろうとする者から見れば、日本の経済政策は現在のアメリカの政策とは正反対である。アメリカの政策は自由経済・貿易主義である。もっとも、いわゆる自由貿易政策とは言っても、これは実際には武力や経済戦争といった手を使って海外市場をこじ開けようとする十九世紀イギリス風の古典的なやり方である。この自由貿易という発想は、安い労働力さえ確保できれば安い製品を売ることができるという前提に基づいている。
一方、各々の国ごとの経済発展ということを教育された者にとっては、日本は古典的な重商主義経済を採用しているように見える。それは国家や政府が産業を保護し、輸出のための基幹産業育成や国内の生活基盤向上のために、政府が長期投資を推進するような経済である。本当の意味での重商主義的政策が取られれば、アメリカの初代財務長官アレクサンダー・ハミルトンが行ったように、生産的投資によって実質的な富を国にもたらすような事業を目指している実業家には、充分な資金が提供されてしかるべきである。
十九世紀の大部分の期間、そして二十世紀に入ってからも、アメリカがこのような重商主義の原則に基づき経済を運営してきたというのは大変な皮肉である。
労働者やすべての市民の生括を向上させるために、科学技術開発への重点的投資を経済政策の根幹に据えることが、その考え方の特徴であった。そしてこのハミルトン流重商主義政策の結果、アメリカは工業大国にのし上がったのである。
日米間の摩擦の根本的な原因は、アメリカがこのような経済哲学を放棄してアダム・スミスやミルトン・フリードマン流の経済思想を取り入れたことにある。日本の不公正取引慣行が原因などではない。
インテリを目覚めさせるな
本書の後半で触れるが、このようないわゆるリべラルな自由取引を求める金融政策は、数多くの大手ユダヤ系投資銀行がつくり上げてきたものだ。いや彼らに限らない。宇野氏がロックフェラー一族は「隠れユダヤ」だと指摘したことを、彼らは宇野氏の著作を攻撃する理由の一つに挙げているが、彼の指摘が全く的外れというわけではない。
現実にはチェース・マンハッタン銀行とスタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(エクソン)の上に築かれたロックフェラー金融帝国は、クーン・ローブ(現在のシェアソン・リーマン・ハットン)の手でつくり上げられたものだ。ラザード・フレル、ゴールドマン・サックス、べア・スターンズ、それにS・G・ウォーバーグといったニューヨークやロンドンに本拠を置くユダヤ系投資銀行が、イギリスの銀行や自分たちの銀行が、アメリカの大部分の銀行を買収するのに手を貸し、あるいはこれを行った。
鉄鋼王アンドリュー・カーネギーや自動車王へンリー・フォードなど十九世紀末からニ十世紀にかけて活躍した大物実業家たちと組んで、彼らはそれを実行した。これら銀行グループが実際に行っていることは、大部分がロスチャィルド家の延長線上のものであるにすぎない。したがって宇野氏のようにロックフェラーを「隠れユダヤ」と簡潔に言い切ったとしても、それはロックフェラーや投資銀行グループが政治、金融面において連合を成している実態を端的に表現したものであると言える。
それゆえADLインターナショナル・レポートが、上智大学の国弘正雄教授を使って宇野氏に反論させていることは、ごまかしである。またAP通信は、宇野氏の言っていることはたわごとでナンセンス」で、日本人は「そのような単純化された余りにも素朴な説明をつい受け入れてしまいがちである」という国弘氏の言葉を引用している。こうした行動から、ADLが日本のインテリや指導層の人々に対する宇野氏の著作の影響力を、減殺させようと試みていることがわかる。
日米でのプロパガンダ工作
ADLによるプロパガンダは太平洋をはさんだ双方で展開された。彼らは日本の新聞だけではなく、アメリカの新聞を利用してプロパガンダ工作に励んだ。
一九八七年春にはニューヨーク・タイムズ』紙に『ユダヤ人に批判的な日本人作家』と題する記事が掲載された。ADLのインターナショナル・レポートは、その『ニューヨーク・タイムズ』の記事に関して次のように述べている。
「日本でユダヤ人に関する本や記事が立て統けに出ている・・・・題名に『ユダヤ』を冠した本が今では合計八十二冊も出回っている・・・・その内の多くはユダヤ陰謀論を扱ったものだ・・・・ニューヨーク・タイムズ』は一九八四年以来発売されているもう一つの本にも言及している。斉藤栄三郎著『世界を動かすユダヤ・パワーの秘密』である。著者は国会議員である。さらに一九八七年三月発行の『歴史読本』は.世界、謎のユダヤ』を特集しており、その中でウォーターゲ−ト事件やロッキード事件はユダヤ人が仕組んだものだと主張する論文を載せている」
ではモルガン、ロスチャイルド、ロックフェラー一族のための新聞である『ニューヨーク・タイムズ』紙が、なぜこの問題を取り上げたのか。それは、『ニューヨーク・タイムズ』が、銀行家、政策担当者、オピニオン・リーダーといった仲間たちに、日本人がユダヤ人を標的にした宣伝攻勢を行っているという政治的シグナルを送るためであった。
そのシグナルとは、ADLの以前からの調査やロピー活動にもかかわらず、『ニューヨーク・タイムズ』の社主やその支持者たちの言うには、日本人というのは手に負えない連中だという内容のものである。
ニューヨークの日本領事館の日本情報センター理事のウメヅ・イタル氏は、『ニューヨーク・タイムズ』が挙げたそれらの本の著者たちの主張は日本政府の見解ではないと言って、同紙の読者から寄せられた反応を抑えようとした。しかしそれにもかかわらず、ADLは彼を信じなかった。
ウメヅ氏はタイムズ宛の書簡の中で「日本文化の歴史には何ら反ユダヤの根は存在しない。日本政府も日本国民も人種的、宗教的、その他いかなる形にせよ差別には反対である。そしてわれわれはこのような立場を維持することを固く決意するものである。われわれの民主主義は様々な考えを持つ自由が存在するときに、真理、正義、礼節が、最終的に確立されるのだと信じることが前提になっている」と述べている。
こうしたウメヅ氏の賞賛に値する努力も、ADLやその支持者たちがこうした説明に耳を貸す気が毛頭なかったことで失敗に終わった。
ユダヤ系議員の日本攻撃
一九八七年三月十四日付『朝日新聞』が『日本の反ユダヤ本困る…米議員、中曽根首相に書簡』と題する記事を載せた。それと同時に『ニューヨーク・タイムズ』は、何はさておいてもこういった本の出版を許していること自体がおかしいと、日本人を激しく攻撃した。ADLは事が自分たちの利害にかかわるときは、ある社会が民主的であることを好まないようである。
中曽根首相宛の書簡を書いたのはアーレン・スぺクター上院議員(共和党、ぺンシルバニア州)とチャールズ・シューマー下院議員(民主党、ニューヨーク州)の二人で、両氏ともユダヤ人でかつADLに近い人物である。彼らが試みたことは、「日本での反ユダヤ的ムードがこれ以上拡がらないよう中曽根首相に手を打たせる」ことだった。
さらにこういった宣伝工作を行う一方で、ADLは広範囲な経済問題を巡って日本に対する政治的攻撃を仕掛けていた。そういう中で日本史上最も大がかりな政治スキャンダルが明るみになり始めた。自由民主党にショックを与えたそのスキャンダルは、ADLが直接関係していないとしても、ニューヨークやロンドンの金融勢力が関係していたことはまちがいないし、こういった時期にその事件が明るみになったのも偶然の一致などではない。ADL及び中央情報局(CIA)とADLの関係を扱った後述の章で述べているように、CIAの代理としてADLが極めて重要な秘密工作を行っている。
日本は反ユダヤか
反ユダヤ問題を理由に日本を攻撃するプロパガンダは、単に日本で反ユダヤ現象が拡がっているから行われたなどというものではない。このキャンぺーンの背景には、日本は文化的に見て本質的に反ユダヤなのだという前提が存在する。前述のヤコブソンは、インタビューの中で「われわれはそれをユダヤ人無き反ユダヤ主義と呼ぶ。ある種の宗教的反ユダヤ現象である」と語っている。
ADLやその支持者たちが、日本が「宗教的反ユダヤ」だという信念を持っているという事実は、日本がユダヤを実際どのように見ているかということ以上に、彼らの姿を明らかに一示している。国際銀行グループが抱く日本に対する文化的敵意は、日本は自分たちのことを「選民」だと考えているに違いないという認識が前提になっている。英語圏の国で発行された最近の日本に関する本を見ると、大部分の著者は日本人が文化的にこのような考え方を持っているとして憤慨している。マーヴィン・ウォルフェ著『日本の陰謀』もそのような本の一つである。
このような偽リべラル主義者たちは総じて、欧米の人々には理解し難いその国々に根差した家族観や伝統的価値観から来る上下関係に対して、反感を覚えるものだ。その上そういった人々はまた、洋の東西を問わず規律に関する「権威主義的文化」というものを自動的に拒否するところがある。さらに覚えておかなければならない極めて重要な事柄は、そのようなとらえ方が戦後アメリカのアカデミックな機関の中で教えられてきたという事実である。
この反権威主義は、デモクラシーの理想を追い求めるなどというようなものではない。むしろ科学や技術の進歩を通じてより完成されたものを目指すことが評価される文化風土を持つ社会に対し、露骨に敵意を抱くものである。この点からいえば、日本は今でも科学の発展を追求する社会の見本の一つになっている。基本的には日本は英語圏の国々の文化に移行することを拒んでいる。これに対し英語圏の国々では脱工業化社会がもてはやされ、政策を立てる上でも科学や科学的手段がもはや重要視されなくなってしまっている。
反権威主義者たちが口にしているのは、まさしくこの科学的権威に対する敵意である。このような考え方は戦後米国ユダヤ委員会(AJC)などの世に言うアングロ・アメリカン・エスタブリッシュメントが周到に植え付けてきたものである。
AJCはADLとは別の存在だが、最近はより寛大でリべラルなAJCの方がADLによって実質的に乗取られてしまっている。それにもかかわらず、反権威主義的パーソナリティと呼ばれる社会学的モデルを利用することに関しては、この二つの組織は共に賛同している。
一九五○年、ドイツからのユダヤ人難民クルト・レヴィン率いるAJCとアイオワ大学での彼の何僚ゴードン・オールポートが、権威主義的パーソナリティと権威主義的文化に関する研究を行った。彼らの研究は、第二次世界大戦前と大戦時におけるナチス・ドイツと大日本帝国の動きをべースにしたものだった。この研究はアメリカにおける権威主義的パ−ソナリティに採用、適用され、一九六○年代には実行に移された。事実、その計画は反ユダヤ主義的と思われる事柄を支持した人物を、特に標的にした対抗措置に利用された。そして反ユダヤ的な人間は、誰でも権威主義的パーソナリティだということにされてしまった。
イスラ工ルと断交すると
もちろん中には紛れもなく本当に反ユダヤである場合もある。だが多くの場合は、ADLが反ユダヤ問題だと指摘しても、実際には何ら反ユダヤ主義とは関係がなかった。そうでなく彼らが、敵視する人物を政治的に攻撃する隠れ蓑としてそれを利用したことは、何度も述べてきた通りである。
権威、継続性、そしてコンセンサスが重んじられる日本のような社会にあっては、反ユダヤ主義が果たす役割は何も存在しない。後でも見るように第二次世界大戦勃発前に、日本はナチスの手を逃れたヨーロッパのユダヤ人を救出する努力をしている。
したがってADLが、日本文化を攻撃する方便として、過去の日本の反ユダヤ文献をいわゆる証拠として掘り起こそうとすることは、決して単なる偶然の一致などではない。 彼らのインターナショナル・レポートでは、「日本において反ユダヤ書籍が当初注目を集めたのは一九七○年代初めであった。その時の本の一冊が日本マクドナルド社長、藤川田氏の『ユダヤの商法…世界経済を動かす』である」と述べている。藤田氏は日本人の仲間に対して、日本人はユダヤ流のビジネスのやり方を取り入れなければならない、つまりユダヤ人の真似をすべきだと語っていたと、ADLのレポートは書いている。このように媚びヘつらったとしても彼らには何ら認められない。
ADLはさらにここ何年間に出た記事についても触れている。
その一つに、アラブ諸国が石油ボイコットを発表した後の一九七二年十一月二十二日付『ジャパン・タイムズ』に載った『日本、世界のユダヤ人の報復行動に直面」という記事がある。
その記事の中で匿名の日本人外交官の次のような発言が引用されている。
「アラブ諸国からの石油を確保するためにイスラエルと断交すれば、日本は世界中のユダヤ人から深刻な報復を.受けることになろう・・・・日本がイスラエルとの関係を断つようなことになれば、世界の国際金触を実質的に支配しているユダヤ資本家か、あらゆる手を使って日本いじめに出てくるだろう」
皮肉なことにその日本人外交官は基本的に正しかった。
フグ計画がなぜ例外なのか
ADLは日本における様々な関係者への接触を開始した。とりわけ日本のキリスト教徒に対しては「日本人とユダヤ人」と題するシンポジウムを通じて接触した。このシンポジウムは東京の世界ルーテル連盟が主催し、日本ルーテル神学校の宣教研究室と聖文舎が協賛したものだった。
ADLのレポートによれば日本ルーテル神学校の清重尚弘神学校長は、「日本のビジネスマンの中には、先入観をどうしても捨てきれず、海外でのユダヤ人ビジネスマンとの取引から手を引いた人たちがいる」と述べている。清重氏はシェークスピアの『べニスの商人』と『浅はかな新約聖書解釈』が、一般的なユダヤ人をこのタイプの人々に見立ててしまったと、ADLに都合のいい発言をした。
シンポジウムでは、第二次世界大戦中の日本における反ユダヤ主義の台頭をはじめとするいくつかのテーマが議論された。その中で日本のプロパガンダの中心が、アメリカとロシアの対日戦争の背景には国際ユダヤの経済的陰謀が存在したという点にあったことが指摘された。
だがADLの言うように日本が反ユダヤ・キャンぺーンを行っていたその同じ時期に、日本政府がヨーロッパのユダヤ人を助けて満州の地に移住させる計画を立てていたことは皮肉なことではないか。もちろんADLは、フグ計画の名で知られるこの計画は単に「一部の日本人」が立てたものであるにすぎないという。
フグ計画そのものの目的は、迫害されたヨーロッパ在住ユダヤ人が持っている技術や力を日本に取り込もうとしたものだった。その計画は当初、五万人のドイツ系ユダヤ人に満州に移住してもらおうというものだったが、最終的には百万人もの移住を想定していた。実際には二万人から三万人のヨーロッパ在住ユダヤ人が日本人によって助けられ、このうちの多くは直接日本に赴いた。
一九七九年版ADL便覧の中でも、日本のユダヤ共同体の精神的リーダーとして日本にいたこともあるラビ、マーヴィン・トケイヤーが、この計画が存在したことを認めている。彼はさらに日本人は「(満州という)荒野に一つの独立国をつくろうとしており、それをソ連との間の緩衝地帯にすると同時に、アメリカの同意を取り付けアメリカからの投資を呼び込もうと考えていた。それによって日本が唱えた大東亜共栄圏を強固なものにすることを狙った」と記している。
フグ計画の考え方を見れば、日本を「文化的反ユダヤ」国家と言うのは明らかに間違っていることがわかる。だがADLはその点をはっきりとさせることを望まない。というのもこれをはっきりさせることは、日本を相手に彼らが行っているプロパガンダ・キャンぺーンに反する上に、彼らにとってフグ計画の事実を自分たちの利益のためにねじ的げて利用するメリットをも失ってしまうからだ。言い換えればADLは、フグ計画の歴史的事実について慎重に言及するものの、それが日本の文化の中では例外的なものであるかのような言い回しをしたいのである。つまりADLは、フグ計画は歴史的事実だが、それは一部の日本人グループが実行したことで、日本全体がそれを実行したわけではないという。ADLの考えによれば日本は今でも「文化的に反ユダヤ」ということになる。
ユダヤ・サイドからのみの称賛
ADLはフグ計画を公にしたが、そのこと自体、特定の日本人を彼らの側に取り込む手段としている。フグ計画を「例外的な日本人の態度」の見本とすることにより、彼らはこれを日本人社会の中で鍵を握る人物を募る手段として利用している。そしてADLやADLをコントロールする人物たちに反対する人々に、彼らをして対抗させようとしているのである。
この種の工作がどのように行われたかを示す典型的な例は、故杉原千畝氏の場合である。氏は一九四○年、リトアニアのコヴノにあった日本領事館で働いていた。この人物はドイツ軍が電撃進行中のさなか、外務省に相談することなく個人的理由だけで通過ビザを発行して、五千人に上るリトアニアとポーランドにいたユダヤ人を救出した。ユダヤ人たちは鉄道で極東に向かい、神戸や中国の上海に住みついた。一九八五年一月、イスラエル政府は杉原氏を日本人の中では最初で唯一の「善き異邦人」だと認定した。
この後の章(第五章)で、ナチス・ドイツから逃れてきた難民の一部が、第二次世界大戦後のアジアでどういう活動を行い世界的な諜報網を作るようになったかを述べてみたい。モサド(イスラエル情報機関)の中で最も重要な人物の一人であるショール・アイゼンバーグは、日本で戦争中を生き延びたばかりか今日の世界的な経済情勢の中で、日本の敵の一人になった。そしてアメリカの情報当局が、これらの勢力とぐるになって日本の弱体化を図っているのである。
第二章はここまで
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